ウォークラフト(小説)

World of WarcraftというMMORPG (Massively Multiplayer Online Role Playing Gameの略) がある。以下WoWと略す。ゲームに関してあまり知識がないので間違っているかもしれないが、MMORPGの最盛期を作り、このジャンルを斜陽へと導いた作品と認識している。斜陽(?)の原因は厳密にはこのゲームではない。後発のタイトルの殆どがこれの粗悪な(あるいは貧弱な)模倣になってしまったことによる。(ただし、MMORPGの衰退については、スマホゲームや他のスタイルのゲームの興隆の方がずっと大きな原因かもしれない。ネット環境の一般化に伴う過渡期的なゲームスタイルだと思う。)ちなみに斜陽期は未だ (多分緩やかに降りつつ) 続いている。

MMORPGは1997年のUltima Onlineで一般的に認知され、さらに1999年開始のEverQuestでこのジャンルのスタイルが確立され、これの模倣作品も多数現れた。同時に、長時間プレイし過ぎ等のオンライン依存症も話題になった。ニュースのことは記憶にあるが、この辺のゲームのことは僕は殆ど何も知らない。

2004年末の冬休みを前にした11月頃、ある程度のコンピューターとネット環境が整っていたので何気なしに適当なPCゲームを探したところ、全米が注目する2タイトルが発売目前だとゲームショップの店員が教えてくれた。それがWorld of Warcraft (WoW)とEverQuest2 (EQ2)。WoWはゲーム開発会社Blizzardが展開していたReal Time Strategy (RTS) であるWarcraftシリーズのMMORPG化として前評判が高かった。Blizzardのゲームは数こそ少ないが、どれも面白さは超一級品であった(らしい)。EQ2は先に挙げたEverQuestの続編であり、前作ファンの期待を背負っていた。

1週間ほど前後した発売後、この2作の明暗ははっきり分かれた。EQ2はPC性能の当時の向上曲線を見越して、数年後に最高設定で遊べるように設計されていた。開始当時にこれを遊ぶ為には、最低レベルのグラフィック描写設定ですらそこそこの性能のゲーム用PCが必要であったらしい。僕の当時のPCでは当然動かせない。一方のWoWは作動が非常に軽く、 WindowsでもMacでも遊べる間口の広さがあった。ポリゴンの荒さは其れなりだが、ディズニーアニメ調の描写と動きの巧さで荒さを感じさせない作りであった。後年、iPhoneが発売されたときに、iPhoneでWoWを起動させる動画が出回ったくらいだ。どちらのゲームがプレイヤー数で上回ったかは言うまでもない。僕の記憶では、WoWは日を追うごとに人口が増えて行き、サーバーがどんどんと重くなった覚えがある。後にBlizzardはサーバー数を増やしたりサーバー毎に一度に入れる人口を制限したりして対応した。

図1 2005年手前から出てくる緑色の折れ線がEQ2のプレイ人口を表す。
図2 同じく2005年手前から上に伸びる緑色の曲線がWoWの人口を表す。縦軸のスケールが図1と異なる点に注意。

図は2008年で切れているが、WoWの人口は2011年まで伸び続け、以降は減少傾向になる。ちなみにであるが、最近の無料オンラインゲームの人口と比較してはいけない。ここに入るゲームの(多分)全てはパッケージ料50ドル前後と、接続料として月額十何ドルかを払う必要がある。(後年に無料化されたものも有る)

WoWはどうしてこれ程の人気が出たのか。ゲームの動作の軽快さだけが要因では無い。開始当初、WoWには革新的な要素は無いと多くのベテラン達が話していた。”global chat”という、不特定多数が参加できるゲーム内会話チャンネルやWoWホームページのフォーラムで、他ゲームとの比較をはじめ様々な話題が飛び交っていたのを傍聴したところ、初心者ながら分かったことが幾つか有る。
1. それまで出たMMORPGの良い要素を寄せ集め、2. ゲームのテンポが良く、3. ゲーム内でアバター(キャラクター)が死ぬことにペナルティーが殆ど無いので気楽に遊べ、4. ダンジョンなどの挑戦的なコンテンツが豊富にあり、5. 使用できるキャラクターが良い。

そう、キャラが良い味を出しているのだ。WoWでは参加する陣営が二つに分かれ、互いに争っているという設定がある。「綺麗側の」陣営ではプレイできる種族は人間とファンタジー常連のエルフ、ドワーフ、ノームがある。一方の「化物」陣営にはオーク、トロール、2足歩行の牛、そして死体 (アンデッド)が選べる。後者側の面子、特にアンデッドは斬新、と或る人がチャットで発言していた。

トーレン 二足歩行の牛種族 この絵面に慣れると日本製、韓国製ゲームの絵が気持ち悪く感じる
アンデッド グラフィックは何度かのアップグレードを受け、開始当初より格段に良くなった。

もう一つの特徴として、プレイヤーによるaddonの作成と導入を許容する点も挙げられる。各個人がaddonの集積サイトから好きな物を選んで導入し、好みのインターフェイスでプレイできる。良い機能はWoW公式に取り入れられ、ドンドンと親切に、便利になっていった。改良の中にはこのジャンルでWoWが初とも言えるシステムもあり、後続のタイトルの手本となる。ファイナルファンタジーXIV (FFXIV)はWoWを大いに真似たと公言している。

更にMMORPGの遊び方自体が変わった。らしい。僕はWoWしか知らないので比較できない。仮想空間で生活を営んだり実時間に相当する生活サイクルをかけて冒険をしたりといったそれ迄のプレイスタイルから、所謂コンテンツ消費型になった。つまり開発会社は次々と新しい要素を導入し、プレイヤーはそれらをひたすら享受し、消費する。 このタイプのゲームを運営するには継続した開発力が必須になる。WoW以降で発売されたMMORPGの多くが、それこそ雨後の筍のごとくWoWの模倣でありコンテンツ消費型であったが、その中でサービスが長期間続いているタイトルはFFXIVくらいしか僕は知らない。

WoWは15目を迎えた。拡張パックは既に7本出ており、僕は新しい拡張が出る度に課金を再開して遊んでいる。そして今年中に新しい拡張が出るとの噂で、そのテスト動画がyoutubeに上がりつつあり、それらを見て期待を膨らませている。WoWを今更取り上げた理由の一つはこれである。もう二つの理由はコロナに関係する。もちろん、外出先が制限されて普段より暇ができたので再開したというのがその一つ。

もう一つの理由だが、WoWのゲーム内で起こった或る珍事を思い出したのだ。ゲームのサービス開始から約1年くらい経ったころに、とある敵ボスキャラが使用する病気を人口が密集する平和な首都エリアに持ち込んだ者が居た。この病気は数秒間毎に一定のダメージを感染者に与え、周囲の者に感染する。感染対象はプレイヤーキャラクターに加えて非プレイヤーキャラクター (いわゆるNPC。店の売り子、衛兵など) も含む。非戦闘状態だと体力が数秒ごとに一致割合回復するので、育ち切ったプレイヤーや強力なNPCにはそれ程影響が無かったのだが、レベルの低いキャラクターには致死的であった。病気自体は再感染がなければ短時間で消えるものであったのだが、病気をものともしないキャラクターが要たのでは何時までたっても再感染が重なって病気が消えないし、プレイヤーの中にはわざと感染を助長する者も現れ、一週間ほどの間、その世界に病気が蔓延した。最終的にはプレイヤー達の独力では処理できないと判断した運営側がサーバーを停止して病気を消し去る。ゲーム史上初のパンデミックだった。

プレイヤーキャラクターが死んだ後には骨が残る

この感染は現実の鳥インフルエンザ(違ったかも)と似ていることから疫学の研究対象となり、論文が発表される。

で、ようやく表題本。同タイトルの映画(2017年?)の小説化である。先にチラッと出てきた両陣営間の対立がテーマなのだが、ここまであまりに長くなったのでそれはまた後日。言い忘れたがこのゲームは日本語化されていないので、これを遊ぶ日本人は一般的にある程度の英語が分かる洋ゲー好きだ。

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