ダイエットをしたら太ります。

夏前から運動を怠け気味で、短時間で切り上げる日が多くなっていた。一方で甘いものや柿ピーは以前と同じように夜な夜な食べていると、ふと気づいたらお腹の肉が軽くつまめるくらい付いてしまった。これはいけない、何とかしようと思った矢先に目に入ったのが本書である。

「ダイエット」とは、周知のように通例では食事制限で痩せる行為を指す。そして、強度の食事制限で痩せることがいかに困難で且つ不健康な行為であるかを本書は警告する。先ず、その行為自体が長続きしない。常に空腹状態に置かれると、人は食べる事しか考えなくなるらしい。僕の経験ではそんなことも無いのだが、それは後ほど。そうしてある時(この「ある時」は普通の人にはいずれ訪れる)食欲を我慢するタガが外れ、暴食する。そして再び脂肪を蓄える結果となる。飢餓状態を経験した体は基礎代謝を押さえる節約モードになっており、なおかつ脂肪を再度蓄える際に脂肪細胞が増殖するという(この点は初耳だった)。結果、制限前よりも痩せにくい体に仕上がる。ヒトが(或いは動物が)進化の過程で手に入れた能力である。一時的にせよ体重を落としたという成功体験があるため、人は心理的にこの行為を何度も繰り返してしまうものらしい。こうして、痩せたいのにどんどんと痩せづらい体になっていく。よく耳にする話ではある。つまり、強度の食事制限で痩せた体は、普通の人には維持できないというのが教訓の一つ。

文化によって色んな美の基準があり、現代は痩せていることが美しい・カッコイイとされる。これはマスメディアがもたらした価値基準の一つである。日本人は集団認証欲求(そういう言葉があるかは分からないが、他人に認められたいという願望)が他国と比べて強いらしく、(特に女性で)健康な体格の人の多くや、十分痩せている人までが「自分は太っているので痩せたい」と思うそうである。そう思い込む理由として、恐らく基準をテレビや雑誌に載る様な(スーパー)モデルに置いているからかもしれない。彼女たちのBMI値は15を切っている場合もあり、とても不健康で普通の人には維持できない体型である。実際、モデルの多くは精神疾患を患っていたり突然死のケースも有るという。最近はBMI値で18.5以下の人はショーに参加できなくなったとか(これはこれで、筋肉を付ければ良いだけなので良い基準ではない気もする)。痩せた方が美しいというのは多くの価値基準と同様に一過性の幻想でしかなく、大多数の(日本)人は痩せる必要が全くない、或いは害ですらある、というのも教訓の一つ。

因みに僕は高校時代に体重が今より最大で10キロ近く低かった(身長もちょっと低かった)時期があり、強度の食事制限と睡眠制限、加えてある程度の運動を半年ほど続けた所為である。食事制限の理由は、お腹がちっとも空かなかったから。睡眠制限が本命で、これは意地だった。どこまで耐えられるか試したかったという、若気の至りである。運動(部活)はただの習慣。この時期のBMI値が18.7。皮下脂肪は殆ど無く、腹回りの血管もくっきり浮かび上がるくらいに痩せていて、周りに引かれた程である。BMIでこれを下回るというのがどれ程ヤバい状態か、僕はよく分かる。食欲が湧かなかったのは強度の睡眠不足のせいかもしれないが、こういうダイエットは絶対おすすめしない。この行為で何かしら(僕自身は自覚していないが)その後の健康を損ねているかもしれない。後に十分寝るようになったら食欲も戻った。

さて、教訓の三つ目は、小太りが一番長生きするという点。長生きに何の価値があるのかは問わないでおく。本書は様々なデータからBMI値で27(だったかな?)前後が最も死ににくいことを示しているのだが、この点に関しては因果関係が良く分からないので、単純にBMIが27だから長生きできる(可能性が比較的高い)ぞ、とはならない。しっかりと栄養を消化吸収できる丈夫な体の人がその前後帯に多くなるだけかもしれない。本書では他にも色んな情報がデータ付きで紹介されているので、ダイエットに興味がある人は読んでみる価値があると思う。