鍋猫スターハウス

ここ2、3年の間に溜め込んだ本を、子供のための寄付サービスを通して処分した事は以前にチラッと触れた。僕はパッキングに拘る性格なので、用意した段ボール箱へ良い具合に詰め込む為に、まだ手元に取って置きたかった本も隙間に丁度入るサイズという理由で入れたりした。この時最後まで入れるか迷った漫画二冊が先日ふと目に入ったので読み返してみた。寝付けなかったのである。

一冊目は『鍋猫スターハウス』。作者こやまけいこは以前に紹介した『かわうその自転車屋さん』の方で有名かもしれない。有名ではないのかも知れない。本作は『かわうそ』と同様にほのぼの漫画なので、一般的な人気は出ないかも知れないが好きな人は好きだと思う。主人公は失業して格安の団地に引っ越してきた。格安なのは理由があって、妖怪が出るからだというお話。可愛い妖怪達との交流を描く短編連作である。僕はこういう漫画がすごく好きで、処分しなくて良かったと思う。

もう一冊の『竜のかわいい七つの子』も短編集。作者九井諒子は『ダンジョン飯』の方で有名である。これはそれ以前に書かれた短編集三冊のうちの一冊で、その短編の多くは自身のアイデンティティを打ち出して売り出していこうという意気込みが感じられる。少し捻り過ぎたり不自然なものもあって全てがお勧めできるわけではないが、本書で言えば第五話目の「金なし白禄」と六話目「子がかわいいと竜は鳴く」は中々良い話である。前者は杉浦日向子の漫画を思い出させる。『ダンジョン飯』が好きなら、好きな話が幾つか見つかると思う。

一度に受け入れることのできるストレスには個人個人で限度がある。仕事が忙しくなったり何か悩みがある時は、普段は制限している食欲のタガが外れて太ってしまうというのは良く聞く話である。これは体が疲労している時は栄養を取った方が良いという、ヒトの祖先にとって生存に有利な形質が現代社会では必ずしも有益でない方向に現れる数々の例の一つだと僕は勝手に考えている。もちろん間違っているかも知れない。因みにダイエット(食事制限)をする場合は生活が平穏な時の方が成功するらしい。

ストレス耐性と同様に欲望にも限度があり、好きな事ややりたい事を幾つも同時に処理しようとする場合、どうしても一つ一つの集中度や楽しみが薄まる。娯楽を享受する為に要する集中力はある種のストレスなので当然と言えば当然である。晩夏から冬にかけて、僕にとって多くの欲望と娯楽が押し寄せて来た、また来ようとしている。ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ、その他のロードレース、”League of Legends”の世界大会 (所謂e-sports大会)、”World of Warcraft” (MMOゲーム)の最新拡張、”Baldur’s Gate 3″ (D&Dのシステムを使ったPCゲーム)、そして爬虫類飼育。短い期間にこの全てを高密度で楽しめるとは思えず、10月末に予定されていたWarcraftの拡張が延期(今年中ではあるらしい)されて正直なところホッとした。仕事でも、意図する・しないに関わらず今年前半から先延ばしにしてきたものが押し寄せてきている。僕の体重は何キロ増えるのだろうか。

現在、挑戦的な読書は控えていて、と言うか難しいものを読む気が起こらなくて、気軽な読み物や古典的なものばかり選択して読んでいる。例えば『戦争と平和』。高校以来だから30年ぶりに近い再読になる。現在新訳で出版最中の版と言えばどの出版社のものか分かるだろう。あまりに有名なので、紹介は多分しない。

数段落前から脱線している序でに、最後にも余談を一つ。僕がパッキングに拘りを持つことは上で書いた。スーパーなら自分で袋詰めできるが、コンビニでの買い物の際は店員に任せるしかない。これが一寸したハラハラ要素で、僕は袋詰めの仕上がり具合で気持ちが上下するほど小さい人間なのだ。最近では少し考えを改め、わざとバランスの悪い構成でレジに持って行き、どう詰めるか見守ることもある。こうした些事に心を揺れ動かされない為には仏教の教えが役に立つ、ということ書かれた本を最近読んでいるので、近いうちに紹介したい。

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