世界の美しいヘビ
虹とヘビとの繋がりは世界各地に伝えられる。漢字の「虹」の字源はヘビ、或いは竜である一種の想像上の生き物とされている。アボリジニの間ではエアーズロックの地下には精霊の化身である「ワムナビ」という虹色のヘビがいると考えられている。アボリジニの研究者でもあるファンタジー作家・上橋菜穂子は『闇の守り人』で「山の王」として精霊界と人間界に跨って住む巨大な水ヘビを登場させたが、そのアイデアはここから取ったのかもしれない。
ヘビと「虹」との関連は、ヘビが爬虫類の中でも飛びぬけて色鮮やかという理由だけでは多分ない。幾つかの種では見る角度により色味、色合いが変化するものがいる。光にかざした際に鱗の表面が油膜を張ったように虹彩を放つ。虹色に輝く理由は鱗の表面に非常に細かい皺や凹凸があり、これがプリズムの様な働きをすることで光を乱反射させるそうだ。こうした光沢は体の輪郭をぼやかす効果があり(少し違うかもしれないが、映画のプレデターが良い例かもしれない)、普段暗所に住む種が何らかの理由で日の下に出た際に鳥などの捕食者から身を守るための進化と考えられる。日本固有種ではタカチホヘビがこの虹彩を持つ。世界ではサンビームヘビ、南米に棲むニジボア各種(ブラジルレインボーボア等)が有名である。
本書は虹彩を持つヘビ以外にも、世界各種の美しい種の、特別に綺麗な個体の写真集である。簡単な説明文も付く。多彩なヘビの多くは毒ヘビであり、シュルツアオハブやパラダイストビヘビなどは驚くほど美しい。無毒ヘビではニジボア以外にもアマゾンベースン・エメラルドツリーボアが、決して派手ではないが渋い美しさと迫力を持つ(木の枝に三角に蜷局を巻く緑色のヘビと言えば分かるだろうか)。余談だがエメラルドツリーボアは一般人の入手も飼育も可能であるものの、実際に売っているところを僕は見たことがない。「アマゾンベースン」と付くのはコレの大型亜種で、流通量はさらに少ないと思われる。ほとんど同じ容姿の、東南アジア・オセアニアに棲むグリーンパイソンの方がより広く流通している。多くの人は両者をごっちゃにしているだろうと思う。僕もそうだった。生態や性格はほぼ同じで、これを収斂進化という(多分)。凶悪な長い牙で人の手にガンガン飛んでくる上級者向けのヘビだそうだ。物の本には観賞向けと書いてある。
さて、本書は綺麗な写真を眺める本なので書くことはあまりない。そこでまた余談になって恐縮だが、とうとうヘビの飼育を始めてしまった。本書にも載る、ブラジル原産の初心者向け種類の、子供サイズ。高温・多湿を要求するので、店に居た時も家でも水を張ったタッパーにずっと浸かっている。
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