砂漠と草原の遺宝
覚え書き。200ページ足らずの本書は原始農耕文化時代(紀元前5000年記)からティムール時代(15世紀)までの中央アジア(旧ソ連邦)の歴史的・文化的発展を考古学的資料から概観したという内容で、書かれたのが約半世紀前という点は注意が要る。中央アジアに関して、僕は(日本人の多くもおそらく)ほとんど何も知らないんだなあ、というのが感想。本書には地図が付かないので、言及される都市・遺跡の位置が良く分からない。日本の歴史教育ではほぼ触れられない領域で、そう、僕たちの歴史観は西洋の視点を基にしているのだった。その西洋の古代史はギリシャ、特にアテネ中心の史観色が強く、そう言えばアケメネス朝(ペルシャ)がギリシャに遠征して撃退された戦争は一般的に、「ギリシャ」戦争ではなくて「ペルシャ」戦争と呼ぶし、スパルタ中心のペロポネソス同盟とアテネを中心とする何とか同盟の戦争は「ペロポネソス」戦争と呼ぶなど、書いたもの(記録を残した者)勝ちである事をを改めて思い出した。