最後の語り部
書店の新刊小説コーナーをブラブラしていて目に留まった本。他に目的の本が有ったわけでもなし、タイトルと表紙の絵柄そしてどうやらSFらしいという情報だけで買ってみたのだけれど、これが当たりであった。ストーリー展開はちゃんとSFしており、どちらかというと青少年向け(中・高校生辺りが対象かな?)の落ち着いた内容で、そんな話は聞いていないが映画化されない筈がない。これを書きながら、どんな感じになるかなあと想像してみて、ストーリーはまるで異なるが『コンタクト』(ジョディ・フォスターのやつ)が想い浮かんだ。
西暦2061年のある日、主人公の少女一家が宇宙船に乗り込むところからお話が始まる。少女視点からは両親や周囲の大人たちによって緊迫感が覆い隠されているものの、ハレー彗星が地球に直撃する軌道をとっており、人類滅亡が免れないことが分かる。少女等が乗るのはアメリカ政府が用意した巨大な宇宙船3隻の中の1隻、新たな惑星で人類文明を継続する基礎を築く科学者達を運ぶ船である。新惑星に生活基盤を整備する技術者たちが乗り込んだ船は先に出発しており、政治家たちを乗せる3隻目が後に続く予定だったのだが、いよいよ飛び立とうとする宇宙船の外では地球で滅亡を待つしかない人達の暴動が起こり、第3隻目は破壊されてしまう。
アメリカの避難船が目指す惑星までは三百数十年かかる。科学者とその家族達は睡眠(仮死?)状態で過ごすことになっており、航中の業務と睡眠者達の状態管理は世話人達が何世代もかけて担当する。睡眠期間中、子供達には各自が希望する専門分野の知識情報がインストールされる。少女が選んだのは父の専門分野である地質学と母親の専門の植物学、そして祖母の影響から世界の神話・伝承と物語。この三つ目の神話・伝承は世話人の責任者の判断により入眠直前で却下されてしまうのだが、世界に物語を残したいという世話人の一人の独断によって彼自身の物語コレクションがインストールされる。そして三百数十年後、当初の計画からまるで一変した状況の中で少女は目覚めることになる。ほんの冒頭部分である。
僕自身は例えスポーツ競技(ボルダリングとかツール・ド・フランスとかeスポーツとか)でさえ結果を知っていても観るくらいネタバレが気にならないのだけれど、嫌う人もいるのでこの辺で。最後に少女等について行ったあの少年がその後無事に生活して成長できるのかだけが気掛かりである。
先日からツール・ド・フランスが始まっているが、最近気になっていたのはゲーム「ストリートファイター6」の大会の方であった。なんでもつい1月前に出たばかりのタイトルらしくて、出場者の熟練度に結構差が出たようである。僕自身は格闘ゲームをプレイしたことが無く、また今後プレイするつもりもないのに観入る。そのせいで先週の日曜日は久しぶりの徹夜をし、翌月曜日の辛かったこと。今後更に盛り上がると良いですね。
最後に、フィンランドのラジオサイトでラテン語の放送を見つけた。直近の更新が2019年となっていたのでもう更新されることは無いかもしれないが、少なくとも何年か分の過去放送は聴けるようである。もちろん全然聴き取れないが、音声が聴けるというのは無茶苦茶有難い。そもそもはフィンランド語を聴きたいと思って探したサイトだったのだけれど、フィンランド語の方も当然のように全く聴き取れないのであった。