ギリシア人の物語I
連休初めに、好評と聞いた映画『スーパーマリオ』を観てきた。映画としては今ひとつで、ストーリーは退屈極まりない。ゲームのプロモーション映画であった。audible風に5点満点で採点するなら、お話は2点。ゲームの楽しさが伝わってくる映像体験?的には4点で総合的に3点。あんまり退屈なので最初の15分程度で来たことを後悔し、途中何度か退場しようかと思ってしまった。もう一つ、これも好評の漫画『推しの子』を読んだ。表紙の絵柄から読まず嫌いだったことを後悔する面白さ。無料版で1巻を読み、残りは一気読みである。
連休後半には、僕の仕事に深く関係する自然現象が発生し、幾つかの締切を先送りにしていたことも合わさってゆっくり読書している場合では無くなる。それでも寝床で少し読んだのが『ギリシア人の物語』。一応再読である。「一応」としたのは、何でだろうか、ローマ人の物語もそうだったが、この人の本の内容は記憶に残らないのである。スラスラと読みやすいのだけれど、著者の推測が多く、且つ脱線が細かく入るので、冗長に感じるのが原因かもしれない。飽きが来るのが早いのも特徴。古本で安かった1.2巻を合わせて購入したのだが、2巻目は暫く寝かすことになりそうである。1巻目はソロン(スパルタの指導者)の改革からペルシャ戦争とその後始末まで。この戦争で占領・略奪された(集団疎開したので)アテネが復興し、続く数十年間に黄金時代を迎え、西洋文明の礎となる。大袈裟かもしれないが、この小さなアテネの、精々1世紀に過ぎない栄光時代の肩の上に西洋文明がまるまる乗っかっていることを考えると、胸が熱くなるじゃないか。以降、ペロポネソス戦争やマケドニアの台頭などから沈んだままなのである。
以下はちょっとだけ摘んだ、或いは読み始めた本など『歴史の始まり』は歴史という分野が未だ生まれていない時代に歴史叙述の先駆けとなった二人の入門書である。ヘロドトスの、クレイステネスに関する記述の真偽問題が興味深い。
『物語 チベットの歴史』は、100ページ程度読みはしたのだが、全く分からない、というか単語(人物名・知名・その他いろいろ)が覚えられず、敗退。馴染みの無い地域の歴史を頭に入れるのはこうも難しいのか、と思い知る。
『フィンランド語の世界を読む』は素晴らしい。フィンランド語の短い文章でフィンランドの文化や歴史を知る、という趣旨の本で、フィンランド語の方も約と照らしつつ読むと何とかわかるレベルである。未だ読み始め。
これまた素晴らしいのが『漢文の語法』。例文(返点などが付された訓読文)を読みつつ実践的に漢文の文法を説明する、という趣旨の本である。とにかく漢文を読むのが気持ち良い。これも未だほんの出出しの箇所である。
最後に、昨日から読んでいるのが『中国詩史』。どれだけ読めるか分からないけど、以下の文章を読んで興味を惹かれない人はいないと思う。「この文学ほど地上を見つめてきた文学、神への関心を抑制して、人間のみを見つめて来た文学は、他の地域に比類がないであろう。シェークスピアを中国は生まなかった。しかし司馬遷と杜甫を、西洋はまだ生んでいないように見うける。」