言語哲学がはじまる

いやー面白かった。読んだ本の全てをここで紹介している訳ではないけれど、過去に書いた項のタイトルをザっと眺めてみても、今年読んだ本の中で本書が最も楽しかったと思う。次に読む本を探す際に、何か似たようなものを思い描くと心が躍るほど。次点で『文明交錯』だけれど、確かその著者(ローラン・ビネ)の前作である『言語の7番目の機能』は積読のままだなあ。

本書は別に小説と並行して読んでいたこともあって、読み終わるのに結構時間がかかってしまった。僕は言葉を介して得る知識は砂場の水たまりだと思っている。継続的に水を注がないと直ぐに地面に沁み込んで消えてしまうし、特に注ぎ始めの頃は消失するのも速い。僕にとって良く知っているとは言い難い(むしろ煙に巻かれたと感じることが常な)論理学の話題なので、たった10ページ前に書いてあった内容ですら、何が話題になってたんだっけ、と見返すことが度々。でもそういう読書は楽しいんだな。興味が維持できればだけれど。ジムで運動の合間にチョビチョビ読んだことなども、僕が本書を楽しく読めた理由の一つであった。

そんなに楽しめた本書について、内容を掻い摘んで紹介したいところだけれど、これを書いている時点で読み終わってから一週間ほど経っており、もう水溜りは消えてしまった。楽しみつつ本を読んで得た知識や考えた事柄などは、もし意識的に取り出すことができなくなったとしても、僕の経験上、何らかの切っ掛けでひょっこり浮上してくるものなので、僕個人としてはそれで構わないのだが、お勧めしたい時に要点を説明できないのには困った。ビックリするような論理的結論が飛び出してくる、その点は請け合える。言語の本質について興味が有る人は取り合えず読んでみると良いのではないでしょうか。

趣味の語学の方は、ペルシャ語は何だかコレじゃない感を感じてしまい、中断した。ペルシャ語をやっている最中に恋しくなったギリシャ語の教科書を引っ張り出して眺めていると、やっぱりコレかなあ感が沸き起こってくる。今度こそ簡単な文章が読める程度にまでは続けたいなあ。