妄想感染体

ホラー要素のある物語が好きで最後まで読んでみたが、結論から言うとアマゾン風採点で3/5点。人類の移住候補地である惑星”paradise-1″のコロニーを視察すべく主人公一行が送り出され、惑星軌道上で異常な事態に対面する、というお話。アイデアは面白いけれど、人物描写が個人的に気持ち悪い点とストーリー展開に締りが無い点がマイナス要素である。中々分厚い上下巻だが内容密度は薄く、まるで弱いコーヒーの様な読書感であった。スラスラと軽快に読み進められるとも言える。各章が短くブツ切りになっているのはアメリカの娯楽小説でよく見る形式なので難点とも思わず。映像化を意識した形式なのかもしれない。最後に主人公一行は何とか地表に降り立つが、コロニーは無人であった。惑星には何か秘密があるらしい、というところで3部作の第2作目(未刊)に続く。

『イスラームから見た西洋哲学』は、詳細はもう殆ど忘れてしまったが、今後の読書指針が得られた点で収穫だった。個人的興味としてニーチェとケルゼン、レヴィ・ストロース、ハイデッガー、イブン・ハルドゥーン辺りは心に留めておきたい。信条に揺るぎ(迷い)が無い基盤を持つ点でイスラームは強いと思う。この先も西洋社会で出来するに違いない多様な社会問題も、イスラームではそもそも問題にはならないことも多いのだろう。

“Death’s End (三体Ⅲ 死神永生)” をやっと聴き終えた。この巻は特にSF的アイデアが盛りゞで、3部作中では一番好きである。話は15世紀のコンスタンティノープル陥落から始まる。メフメト2世暗殺の為に刺客が利用しようとした或る不思議な現象が、物語の中盤から終盤にかけてストーリー展開の中核的な仕掛けとなる。それは宇宙の暗黒森林状態から起こる状況の痕跡であり、宇宙の在り様を説明する現象であった(暈かして書いています)。日本語で読んだ際は読み飛ばしてしまった幾つかのアイデアに気付くことができ、今回聴いて良かったと思う。

今年中に読みたい本の一冊として挙げていた『パピルスの中の永遠』。原著がスペイン語なのでどうかなあと余り期待せずにAudibleで検索すると英語版が見つかった。朗読の声も不快ではないし、こちらで済ませることにする。代わりの今年中に読みたい本として、昨年から気になっていた『励起 ー 仁科芳雄と日本の現代物理学』を挙げておこうかな。分厚い上下巻で値段の方はかなりヘビーだが、書店でパラパラ捲った限りかなり面白そうである。その内に。僕は計画的な方じゃないので、目標をメモに残しておくのは良いね。読みたい(読まなきゃ)、という気持ちが長持ちする。