数字とことばの不思議な話

表題書は少し前の出版でかつ子供向きのシリーズなので僕は今まで完全にスルーしていて、某所で紹介されているのを見て興味を持った。数字を1から10まで読み上げ、次いで読み下げ(カウントダウン)てみると、4と7で二通りの読み方を自然と使い分けていることに気付く。そうでない人・場合もあるけれども。一般的に「し」と「よん」、「しち」と「なな」は色んな場合において使い分けられている。この日本人なら誰もが知っている(でもあまり意識していないかもしれない)用法の背後にはどんな法則があるのかを多角的に考察し、分かりやすく解説したのが本書である。詳細は書かないが、日本語に興味がある人にはすごくお勧めできる。春から日本に来ている、日本語を今も少しづつ勉強しているらしい外国人同僚にもいつか読んでもらいたいと思った。ただし、本書が面白く読めるなら、もう既にかなりの上級者であろう。

言葉の変遷に関する事柄なので何かしらの法則が無いわけはないのだろうけれど、それらの法則は日本語で育った人なら、日本語に特有のある種の癖として経験的に習得してきた、文化的な垢のようなものなのだろう。僕にはうまく表現できない。日本語を習得しようとする人がその辺の感覚も含めて短期間で習熟するのはしんどいだろうなあと感じる。何も日本語に限った話ではなく、例えば英語には英語のそういう繊細な(?)部分がある筈で、教科書的にしか習得していない僕には残念ながらその辺の勘所は良く分からない。ギリシャ語のアクセント移動や活用変化を難しいと感じるのは、なにせ古い言葉なので、繊細な部分が学習の入り口付近から顔を出しているからかもしれない。それらにも一応規則はあるのだけれど、なかなか頭に入らない。

最近聴いていたAudible本が上に挙げた “The Idea of the Brain”。脳という器官の発見とその機能の究明にまつわる歴史を解説した読み物で、日本語訳が出ているかは分からない。朗読も聞きやすくて全体的に面白いが、内容が結構詳細なのでさらっと聞き流していると何について話しているのか分からなくなる。僕は後半分からなくなった。それにしても、古代人名の英語読みはいつまで経っても慣れない。Γαληνός(ラテン語表記ならGalenus)が「ゲイラン」と読まれていて、話題が進むまで「ガレノス」の事だとは気が付かなかった。

“The Idea of the Brain” の後半、近・現代の神経細胞の研究の紹介になったあたりで飽きてきたので(少し長めの本なのだ、日本語訳なら多分上下分冊になるだろう)、これを書く今現在浮気しているのが “Life Ascending” 。ニック・レーンの古めの著作で、生命の進化の過程で大きな起点となった10の進化的発明を取り上げた本である。未だ冒頭を聴いただけで、光合成・運動能力(モータータンパク質?)・性と意識の獲得を別にして他に何が取り上げられるか知らないのでここで出鱈目に残りを予想しておくと、遺伝子(或いは遺伝子として核酸を利用)、細胞骨格、膜、細胞内共生(ミトコンドリアなど)、多細胞化、分化あたりかな。きっと、それがあったか、となる筈である。詳細はそのうちに。

最後はカルロ・ロヴェッリの本。日本語訳があるのか良く分からないけれど、Audibleでは持ってなかったので、ファンとしては聴かないわけにはいかない。ニックレーンよりこちらを先に聴くかもしれない。