地中海世界の歴史2 沈黙する神々の帝国

やっと2冊目を読んだ。前巻と同様、記述内容には著者の(あるいは学界の?)推測がかなり混じるものの、前巻のぼんやりした内容と比べるとより具体的な歴史に焦点が合ってきて、具体的にはアッシリア(新)とアケメネス朝ペルシャが中心的に取り扱われる。前者は小アジアから鉄器の製造技術を学んで領土を拡大したが、過酷な支配により各地で反乱が絶えず、滅亡。新バビロニアやメディア他の4国分立時代を経てペルシャが台頭し、広大な地域を征服する。支配下の他民族の文化に寛容であったとされる。周知のようにギリシャにちょっかい(ペルシャ戦争)を出して敗退し、後にアレクサンドロス大王により滅亡する。

割と楽しく読んだけど、この時代はそれぞれの専門家が書いたもの、例えば中公新書の『古代メソポタミア全史』や『アケメネス朝ペルシア』の方が情報量も多くて面白いと思う。来月初頭にはちくま新書から『アッシリア 人類最古の帝国』も出るそうな。表題シリーズの次回はギリシャ。「いよいよ歴史は「人間の時代」となり、近代においても参照される政治と思想が誕生するが、その時、古代社会の深淵には底知れぬ闇が顔をのぞかせているのだ」(「おわりに」から)。ギリシャについては既に沢山の本が出ていて当書には多くを望まないけど、少しだけ期待。

『ヲかしな建物探訪記』は架空の世界の建物イラストと設定集。歩荷ブタが背負い子に荷物を担いで各地を周るという設定で、なかなか楽しい。方向性は『ものがたりの家』と同様で、空想の地図や街並みを眺めるのが好きな人にはおすすめ。