響きをみがく
すこし面白かったので紹介したい。あまり覚えていないのでちょっとだけ。音楽家達から名コンサートホールと評価の高いサントリーホールで音響設計に携わった豊田氏を密着取材したノンフィクションである。新たにコンサートホールを建築する場合、建築家は音響設計家とタッグを組むことになる。コンペティションなどで、氏は世界中の建築家から引っ張りだこになるらしい。彼が設計したホール、例えば北海道のKitara (だったかな?)や最新のエルプフィルハーモニー・ハンブルクはいずれも傑作ホールとして知られている(他に幾つもあったのだが、僕が覚えていない)。Toyotaといえば一般的には自動車メーカーのことだが、クラシック音楽界隈では氏が第一に来るそうである。
そんな超一流の職人の仕事ぶりを紹介した読み物として本書は誰でもそこそこ面白く読めると思われるのだが、もしクラシック音楽に興味があるなら一層楽しめると思う。だたし本書の満足感は定価(1700円+税)に届かないかも知れない。僕個人としては700円分くらいの面白さであった。
さて、Audibleで”The Body: A Guide For Occupants”を聴き始めた。日本語訳名は『人体大全』。評判の本で気になっていたのだが、3000円超と中々高くてどうしようかと迷っていたところ、Audibleに入っているのを見つけたのだった。各章が独立しており、多様なトピックスが盛り込まれていてAudibleで聴くにはちょうど良い感じの内容である。肝心の朗読は著者自身が担当しているのだが、何だかクシャッと皺が寄ったような、綿を口に含んだような歯切れの悪い発声で少し聴き辛い。どうしてプロに読ませないのだろうか。内容自体は面白いので、文字媒体のバージョン(つまり「書」の方)はお勧め。