はじめてのクラシック音楽

面白みの無い本であった。クラシック音楽についての一般的知識が得られることは帯にも書いてあるように間違いないと思うが、味付けが薄いので初心者が本書を読んでクラシックに興味を惹かれるか甚だ疑問である。どういった読者を対象としているのだろうかと少し考えてみて、思い浮かんだのが僕の親世代(70代)以上で、趣味があまりなくて暇を持て余し、何か理解しやすい上品な娯楽に手を出そうかと思っている人。またはクラシックがちょっと気になってきた小中学生。著者の偏見や情熱に晒されることなく、一通りの知識を入れるのには良いかもしれない。僕が読む本ではなかったのである。

ある程度の偏見と熱量に当てられても平気な人、寧ろそういう歯に衣を被せぬ意見が面白いという人なら、同類書は他にも有るけれど例えば『クラシックの名曲・名盤』『交響曲の名曲・名盤』『協奏曲の名曲・名盤』の方がクラシック音楽への入り口として楽しめると思う。随分前に読んだっきりでうろ覚えになるが、主著者の宇野氏と他2名の鼎談形式で(違ったかな?)、コレコレの曲はここが良くて好き・または退屈、そしてこの曲を聴くならこのCD・レコード一択でしょう、いやいやコレも良いですよ、的な偏見を全開にした入門書であった。これらを読んでもクラシック音楽に詳しくはならないだろうが、興味は惹かれる。そんなに良い曲・演奏なら一寸探して聴いてみるか、となる。推奨CDが自分の好みに合うか分からない博打性も良い。大した内容ではないけれど僕は何故か気に入って何度も読み、取り上げられる曲が果たしてどの様か思う存分想像した。元々は講談社現代新書から出ていたが、後に他出版社の新書で再版されたようである。これら本の難点は、30年前の本なので紹介される録音が今となっては古いものばかりであること。

講談社現代新書の本を紹介したついでに、僕が面白いと思った同新書レーベルのタイトルを幾つか挙げておくと、『ふしぎなキリスト教』『はじめてのロシア語』『モンゴル帝国の興亡』は良かった。思い返してみると講談社新書はあまり読んでいない。

毎年年明けに読むこの漫画ももう11巻目。こんなに続くと思わなかった。今回は古着屋の話が特に好みであった。