しっかり学ぶ初級ラテン語
オリンピックにはそれほど関心を持っていなかったが、実際に始まるとライヴ配信を結構見入ってしまう。ボート、フェンシングやウェイトリフティングなど普段競技を見る機会の少ない種目が気に入っている。オリンピックともう一つ別の理由(何かは言わないが)のために最近はあまり本を読んでおらず、紹介したい本が今のところ無い。しかしあまり間を空けるのも気持ち悪いので、プレースホルダー的に何かしらの(本に纏わる)内容を捻り出してみる。
アラビア語にすぐに戻る予定で、軽い脱線のつもりで始めたラテン語にかなりハマっている。数少ない単語で多くの意味内容を表現できる機能性と、語順が(殆ど)自由である点が魅力なのだが、英語や日本語など語順に縛られる現代語にしか馴染みのない僕にとって後者の特徴は特に混乱する点でもある。修飾する語がすぐ近くにあるとは限らず、ある語がどの語とどういう関係で繋がるのか、単語の格変化がちゃんと頭に入っていないと文の構造が分からず、意味がまるで読み取れない。こういう少しパズルのようなややこしさ(分かる人にとっては簡潔さと言えるだろう)が魅力である。表題に挙げた本は文法の基礎部分の説明が丁寧で僕はとても気に入っている。もう彼此一月ほど取り組んでいるのだが、牛の歩みでまだ半分程度しか進めておらず、もう暫くはラテン語から離れられそうにない。気持ちも今はラテン語に向いている。そうこうしていると、つい先日、大阪大学外国語学部の『アラビア語 〔文字編・文法表・語彙集〕別冊』が出ているのを見つけ、またアラビア語に引き戻されそうになる。
話は変わるが、朗読ができなくなっていることに最近気付いた。ただ順番に文字を追って声に出すだけなのに、目に入る少し先にある言葉を先行して口にしたり、普段使い慣れている、言い易い類語でつい置き換えたりしてしまう。最近喋る機会も減っているせいか幾つかの音(例えば「の」など)も出し辛くなっている。これはいけないと思い、毎日少しだけ朗読することにした。
最初に選んだ本は、長いこと積読のまま放ったらかしにしていた『詩人・菅原道真―うつしの美学』。内容はとても興味深いものの、言葉遣いが普段僕が読み、また使用するものからズレていて大変朗読しづらい。読み方が分からない漢字も(恥ずかしながら)頻出するため、諦めた。
次に取り上げたのが岩波文庫の先月分配本の『楚辞』。これは部分的に声に出して読むには中々いい本である。が、漢詩集なので読む速度がどうしても落ちる。これはこれで別にゆっくり読むことにする。
そして選んだのが『純粋理性批判』光文社古典新訳文庫版。今のところ朗読にはこれが最適だと感じた。砕け過ぎず適度に硬い言葉遣いで、古風とか不自然と感じる言い回しも無く、声に出して読み易い。また第七巻まであるので、暫くの間は次に読む本を探す必要がない。ハッキリした発音ができる範囲で速度を重視し、ひたすら朗読していると、15分も経つと前頭葉辺りが痺れてくる。もちろん口も疲れる。これをできるだけ毎日、20〜30分程度朗読するようにしている。これを書く時点で『純粋理性批判』は漸く第二巻に入ったところ。内容はちっとも頭に入ってこない。