ロシア語だけの青春
今回も近況報告だけ。ロシア語は一旦中断するつもりだったけど、書店で何気なく『初級ロシア語文法』をペラペラと眺めていると、もう少し続けてみるか、と言う気分になった。この本は「通読できる読める文法書」と言うのが売りで、一通りの基礎事項が400ページ超に渡って砕けた口調で解説されている。ジムのロビーで運動前に流し読みして、『ロシヤ語四週間』を直前に読んでいたこともあり、4日で読み終わってしまった。おさらいという感じ。『四週間』と比べると情報密度の薄さが際立つ、というか初心者フレンドリーである。
この読書感、何処かで覚えがあるなあと記憶を辿ってみると、大学受験の勉強時に湯船に浸かりつつ読んでいた『世界史講義の実況中継』(正確なタイトルは忘れたけど、予備校が出版していた読み物的な参考書)を思い出した。そのシリーズを知っている人なら、そんな雰囲気の語学書と思っても大きく外していないだろう。やや威圧的なボリュームに反して、初めてロシア語に触れる人にお勧めだと思う。
値段の方もボリューム相応で決して安くは無いのだけれど、記述内容の薄さに比してもコストパフォーマンスがそれほど悪いと思わないのは、音声ファイルが充実しているからである。このマイナー出版社(三修社、マイナー言語の語学書でしかお世話になっていないので、大出版社であったらすみません)の語学書で僕がこれまで購入してきた本はどれも音声ファイルが素晴らしく、『ウェールズ語の基礎』を最後まで楽しく通読できたのも、日本人には難しいと感じるウェールズ語の発音を聞き取りやすい音声で聴けたお陰であった。『スウェーデン語の基礎』に至っては、もうやめてと言いたくなる程の分量が付いていた。(『チェコ語の基礎』も、これ僕は読んでいないが、音声は聴きやすかった。)
書いてある文字をその言語の音で読むということは、僕にとって外国語学習の楽しみの半分を占めるのである。なので今後もこの出版社には同様の、他にあまり語学書が出ていない言語の入門書を出してもらいたいと期待している。特にグルジア語、アイルランド語を希望。ロシア語の場合はアクセントの位置さえ分かってさえいれば読み方に迷うなんてことは無いのだけれど、綺麗な音声が聴けるに越したことはない。こちらは急がず時間をかけて聴くことにする。まあ可愛らしい声なので僕は惚れた。
その『初級ロシア語文法』の著者の自伝エッセイが表題の『ロシア語だけの青春』。かつて東京に存在した、そこの卒業生(門下生?)ともなればロシア語業界から一目置かれる、そんな伝説的なロシア語学校での体験記である。運動も勉学も決して得意ではなかったと語る著者がロシア語をやると決心し、高校生時代から伝説校に通い続ける様子がとても面白く描かれていて、あっという間に読み終えてしまった。語学を本気で修めるとはこういうことなのである。アクセント?(多分、本文ではロシア語でなんと言っていたかな)と発音を特別重視し、まるで体にロシア語を浸透させて条件反射的にロシア語が出てくる様に覚え込む、その学校のそういう体育会系部活動的なノリが僕は大好きである。
格闘技ジムの方で僕ができるだけ休まずに通っている曜日があり、キックボクシングのミット打ちの後に、皆んなで筋トレっぽい体力作りと、サーキットトレーニングを各小一時間ずつ。特に後の二つは集団で、と言っても十数人程度だけれど、同じ内容のトレーニングをするという部活動的な雰囲気があり、これが気に入っている。もちろん体力に応じて強度は変わり、サーキットなどは自分次第。まだまだ疲労を歳のせいにしたくないので僕は中でも一番張り切っている方なのだが、昔に比べて筋肉痛になる頻度が増えた気がするのはやはり歳なのかも。プロテインを飲む様にした方が良いのかもしれない。
話が逸れたが、僕が語学に嵌まっているのは、体で覚えこみ慣れるという、運動に通じる要素が性に合っているのだろうと思う。他に本の方では宮城谷昌光や中公新書を幾つか読んだのだけれど、特に言いたいことも無いし、機会があればまた。