最近読んだ本(時を刻む湖 ほか)
雑多に読み飛ばした本のリストアップと一口コメント。
『時を刻む湖』は福井県の水月湖が、放射性同位体によって推定される年代の補正基準(キャリブレーションデータだったかな?)として採用されるに至った経緯を、この研究に携わった研究者自身が綴った読み物。一万年ちょっと前迄の年代には樹木年輪が誤差を含まない物差しとして使用できる。水月湖の堆積物(年縞)はこれを5万年前まで延長する。樹木年輪と違い、他のキャリブレーションデータは誤差をどう見積もるかが問題となる。楽しんだ度合いは5点満点中の4点。
『サーミランドの宮沢賢治』は東北沖地震を機に朗読劇「銀河鉄道の夜」で活動する著者二人が、『銀河鉄道の夜』の起筆100周年に合わせてサーミランド(スカンジナビア半島北部、サーミ人の地域)への旅行記をそれぞれの視点から綴ったもの。とし子の死後に日本の当時の最北端へ向かった賢治に向かい合うようにして二人はフィンランドの最北端を目指した。何故サーミランドかと言えば、そこに著者一人の知人が住んでいるからだと思われる。表紙にひかれて購入したが、中身の方は、うーん。5点中2点。
『「人は右、車は左」往来の日本史』は5点中2点。僕自身は余り楽しめなかったが、本書が趣味に合う人も居ると思う。歩道中で、対面から歩行者が来た際に僕は左へ避けることが多く、これが習慣なのか本能的から来る傾向なのかが気になっていたので読んでみた。疑問は解消されなかったものの、蘊蓄が盛り沢山の内容。
『座右のラテン語』はラテン語さんの前著『世界はラテン語でできている』の続編と言って良いのかな?漫画家ヤマザキマリとの対談である。両者は一世代(以上)年齢が離れており、前者から後者への人生相談と言ってもいい内容であった。中身はかなり薄く、5点中2点。
一方、同じくラテン語さん著の『ラテン語でわかる英単語』は、カテゴリー別にラテン語が見出しで表記され、その下に派生英単語が付記される体裁で、ラテン語の単語帳として使える。未だ数日間、寝る前に数ページずつをパラパラと捲ったに過ぎないが、無機質さが好みである。それにしても著派の知識量には感心する。
もう一冊は『減量の方程式』。以前は食事に関して節制する意識を多少は持っていたのだが、ここ一年ほどは食べたいものを満足するだけ食べているのに体型が変わらず、何故だろうと思って読んでみた。色々と思うところはあるけど、5点中1点。僕は拾い読みで済ませてしまったが、ダイエットを真剣に考えている人には良いのではないかと思われる。完全に腹具合に従った年末年始は、普段の運動をしなかったこともあって筋肉も併せて落ちたようで、運動始めのダンベルがズシッと重かった。
最後に『変身』について。グレゴールが変身した毒虫は、個人的にサンヨウベニボタル(の幼生?)が最もしっくり来る。検索すれば写真が色々と出てくるので、気になる人はぜひ。