ゴッド・パズル-神の暗号-

週末に2時間ほど電車に乗ったので思ったよりも早く片付いた。本書は年末頃から気にはなっていたのだが、『ボタニストの殺人』などの優先したいミステリーが目白押しだったのと、本書タイトルの「ゴッド」の部分に酸っぱい臭いを感じて中々手を出せずにいた。それでも暗号読解要素が有るミステリーは大好物で、かつ陰謀論絡みであれば尚更なので、『ダヴィンチ・コード』のようなものを期待して読み始めたのだが…

物語は冒頭から『ダヴィンチ』が薄っすらと透けて見えるような既視感のある展開を見せる。主人公はアメフトの試合中に頭部を負傷し、後天的なサヴァン症候群を発症する。彼が獲得した異能は瞬間的なパターン認識能力、映像記憶、速読等など。後ろ二つのお陰で分厚い本や書類に短時間で目を通し、その全てをミスなく記憶することができる。この設定の欠陥として、暗号や謎は彼が瞬間的に解読してしまうので、徐々に解き明かされていく快感がかなり薄い。そして「ゴッド」に懸念した通り、少々スピリチュアルな、一神教的なファンタジーが混じるのだが、この要素は物語の他の部分から浮いている。ただ、途中で投げ出す程つまらない訳では決してない。

個人的な満足度は5点満点中の2点。この採点は3千円を超える金額も考慮している。純粋な面白さだけなら3点。読んでみたいという人は、古本か文庫が出るのを待つことを勧める。