フィンランド語四週間
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今年は柿を食べ過ぎた。買い込んだものを固い内にと思って食べ急ぎ、無くなれば買い足していたので、ここ2か月ほどは毎日1・2個食べていたように思う。しばらく前に職場で果物の話題(日本の物価は妙なものが高い、果物は特に)が出た際に、柿は匂いが無いので柿があまり流通していない外国の人には不思議がられるという話が出て、成る程と初めて気が付いた。そう言われて改めて食べてみると確かに甘いだけで、匂いは微かに有るような無いような。そして妙に水っぽく感じたのは、僕がもう飽きてしまったからだろうか。
現在愛読している『フィンランド語四週間』、そろそろ3週目(章立ての話)が終わるところまで来ており、僕が読んだもう一冊の教科書(『フィンランド語文法ハンドブック』)と比べて気に入った点が幾つも有ある。例えばフィンランドの単語は語尾によって語幹が級転換(弱級と強級)するのだが、その原則がキッチリと説明されている。これはもう一冊の方にも書いてあったかも知れず、大量の情報の中でサラッと通り過ぎてしまい、記憶に留めなかっただけのような気もする。本書を読んでいるとそんな箇所が次々と出てきて、多分初学者が見落としがちな事項の配分ペースが程よいのだろうと思われる。時代色を感じさせる例文がまた良く、例えば「猫は小さいうちは可愛い」などは現代の一般的な認識とは少し異なっているのが面白い。欠点としては、他の四週間シリーズに共通して言えることだろうが、情報が各所に散らばっている点が挙げられる。本書には索引も付かないので、アレは何処だったっけ、となった時にパラパラ捲って探さないといけない。今月末に白水社から気になる語学書が出るため、其れ迄には読み終わりたい。今年読んだ中で(今のところ)最も気に入った本であった。次点は『古典ラテン語文典』。
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少々気が早いが今年読んだ中で特に気に入った本を他にも挙げると、先ずは『異常』。これは一度読んだら忘れないだろうというタイプの小説である。詳細は省くけど、読んだらきっとビックリするだろう。
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次に『B.C.1177』と『トロイア戦争』。非常に興味を引き付けられる考察で、読後もその気分が抜けず、同類の本を探した程である。
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もう一冊、本サイトで触れる機会が無かった本で『中世を旅する人びと』。上に挙げた本の様なメリハリの効いたスリリングさは無いものの、何処を取っても均質的な情報密度があり、また読みやすい文体なので、淡々と落ち着いたペースで読めるのが良い。橋、街道や旅籠など、移動や流通に焦点を当ててヨーロッパ中世の庶民の生活を描いた本である。
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最後に、現在聴いているAudibleタイトルが”Light in the Darkness”。ブラックホール観測に携わった研究者による、宇宙の観測についての科学的読み物である。とても聴きやすく、内容の方も興味があれば面白いと言えるかな。日本語翻訳版が出ているのかどうかは分からない。