シャボテン幻想

ふとサボテンが気になった。むかし両祖父母の家にはそれぞれにサボテンの鉢植えが幾つも置いてあり、その時分はときどき痛い思いをした以外は特に何の興味も持たなかったのだが、成長と共にそういうものの良さが分かるようになり、ゴロンと可愛い形に魅せられて1000円くらいの小鉢植えを購入したことが数度ある。それらがどうなったかまるで記憶に無いので、恐らく直ぐに枯らせて捨てたのだろうと思う。そして再び、挑戦したくなった。近ごろは飼育栽培のノウハウが簡単に入手できるのでそう簡単に枯らすことは無いだろうと思う一方で、飼育栽培の難しい種類が結構あるらしく、見た目を優先するよりも僕の生活環境に合ったやつ(そんな種が有ればだが)を探さないといけないなあと少々ビビっているところである。外見だけなら黒王丸や大竜冠などの、ゴロンと如何にもサボテンらしいサボテンが好きだ。余談だが、サボテンは品種の和名がなかなかカッコいい。

そんなことを考えつつ書店をぶらぶらしていて目に留まったのが本書で、小説家(少し前の人で、僕は知らなかった)にしてサボテン愛好家の著者がサボテンに関するあれこれを綴った随筆集である。話題は植物学や文化、歴史など多方面に渡っており、なかなか面白い。本書には一つだけ難点があり、幾つか言及される栽培品種名が一体どんな外見なのか、この方面に無知な僕にはまるで分からない(一応、カラーの口絵がほんの少しだけあるにはある)。せっかく興味も沸いているので翌日購入したのが上に載せた『12か月栽培ナビ・サボテン』。こちらの本の評価は僕には判断できない。色んな品種が眺められれば良かったのだ。栽培難易度や栽培条件も付随するのでその点でも役に立つ。分かったことは、サボテンは総じて結構難しそうだ、ということ。そう考えると、祖父母たちのサボテンは大きく立派に育っていて感心する。

何故またサボテンが意識に上ったかと言うと、ふと気づいたら、僕の飼育しているヘビが全て南北アメリカ大陸原産だったのだ。偶然ではない。パイソン系を除くとしたら、そうなるケースは割と多いと思う。実は最近またヘビを新たに購入しており、ミルクスネークの一種なのでアメリカ原産である。より具体的には南米のアンデス原産。そしてアメリカ大陸を代表する植物と言えばサボテン。そんな単純な連想であった。それにしても、ヘビを増やすのはもうお終い。今年は。