ピアノトリオ

面白かった。ジャズのピアノトリオ(というジャンル?)の歴史と魅力、有名ジャズ・ピアニストの代表的な演奏の聴きどころを紹介した啓蒙書である。この最後の要素、例えばこの演奏の1分30秒からのコレコレの展開がどうのこうの、という踏み込んだ解説に関しては、ジャズに馴染みのない僕には正直全く理解出来なかった。それでも、未だ僕が知らない分野に、愛好家がのめり込めるだけの深い魅力があるということはしっかりと伝わって来て、少し体温が上がった。クラシックのように何かの拍子に好きになるかも知れないし、僕には良さが終始分からないままかも知れないけど。

ふと思い出したのが日本を中心に活動しているクラシック・ピアニストであるメジューエワが講談社新書から出した本2冊。あちらも内容が僕には細かすぎてよく理解出来なかったが、解説される曲は何やら良いものであろうという事が伝わって来て楽しめた。それらと本書との主な違いは、前者は曲自体が着目されるのに対して、本書の方はピアニストと演奏に焦点が当てられる。ジャズの方が疎遠感を感じるが(一般的に?)、読み易いのは本書の方だと思う。ラテンアメリカ文学の魅力を紹介した新書2冊もそうだけど、あまり馴染みの無いジャンルを熱く(?)紹介する類の本は妙に楽しいと感じる。

『言語と行為』は、現在ノロノロと読み進めている『理性の呼び声』で、ウィトゲンシュタインと並んで度々引用されるオースティンの名前が書店でふと目に留まったので読んでみた。真または偽で判定されるのではなく、適切または不適切で判断される「遂行的発話」という概念が存在すること解説した講義録である。「遂行的発話」とは、例えば「誓います」と発言することは「誓う」という行為そのものを表すように、言うこと自体が行為であるような発話のこと。以下、遂行体の条件や分類が考察される。議論がテンポ良く進んで読み易くはあるが、あまり面白いものでもない。

未だ読み始めた(ページを捲り始めた)ばかりの『現代ドイツ語文法便覧』、かなり詳細な文法書と言う印象を受ける。目的も無く読み通すのは少々しんどいかも知れないが、冒頭の表を含めて今のところ(やっと不規則動詞の人称変化に入ったところ)はとても良い。本書に関しては、読む時間がなかなか取れないのが困った。