名探偵と海の悪魔

読んだので取り敢えず感想を書き始めてはみたものの、言いたいことが殆ど何も出てこなくて困った。同著者の最新作『世界の終わりの最後の殺人』が面白かったので、折角なので同様に高評の高い、前作にあたる本書もと思って読み始めてみたのだが、雰囲気がまあ重い。あまり楽しくないかもと思いながらも、気が付けば100ページ位は一気に読んでいたので、それなりに没頭出来る内容ではあった。設定が独特であるのは最新作と同様、また同様に事件の真相について色々と仮定しては修正しながら読み進めた為かも知れない。

インドネシアのバタヴィアからオランダに向かう東インド会社所属の貿易船が舞台となる。乗員はバタヴィア総督とその妻に娘、愛人、正体不明の貴族婦人、総督の警護隊、一癖ある船員達、数十人の一般下級乗客。加えて名探偵とその従者。名探偵はイギリスのスパイであるとして総督に捉えられ、本国への護送のために狭い船室に監禁されている。そんな閉鎖環境の中で起こる、悪魔絡みと憶測される事件の謎の解明に従者と総督の妻が協力して立ち向かうという内容。

個人的に楽しんだ度合いを5点満点で付けるなら、『世界の終わりの最後の殺人』を4点とすれば、それよりは下なので3点、或いは端数を許して3.5点くらい。終盤の展開は想定できないものであった。この展開を受け入れることが出来るかどうかで評価が分かれると思う。推理するのではなく、物語の展開を単純に楽しむという姿勢で読むのが吉。