ゲルマーニア (岩波文庫)

ゲルマン人の社会や日常生活の記述が大変興味深かったが、この本が何より素晴らしいのは充実した注釈である。むしろ本文の方が付属といっても差し支えない。当時の事物や風習を理解する助けとなる詳細な解説が付く。解釈の異論が有るかもしれない箇所では、タキトゥスの意図を推察し、ラテン語や周辺言語の語源にまで遡って説明される。そして、訳者自身の解釈が従来のものや先行研究と異なる場合、その理由を明記して、従来のものは「間違いである」と断言する。その正誤は僕には判断できないけど、こうした研究者として潔い姿勢に触れると此方もなんだかスッキリする。例として一つくらい引用したいと思ったのだが、幾つもあったその類の注釈が、残念なことにこれを書く際には見つけられなかった。

折角なので大学書林の対訳版『ゲルマーニア』も購入する。『ガリア戦記』第一巻の対訳をまだ読んでいる最中なので、これに取り掛かるのはまだまだ先になりそうである。『インデックス式 ラテン文法表』は発売日になっても書店に置いてなかったのでアマゾンで購入。予想外に小さな冊子であった。ラテン語文法の別の入門書に付属していた、活用や曲用を纏めた別冊と大差ないように見えるが、評価は中身をじっくりと見てからであろう。