しっかり学ぶ初級古典ギリシャ語

つい先ごろ、語学書の気になる新刊が出ていたのを見つけて、また手を出してしまった。古典ギリシャ語。一括りに古代ギリシャ語と言ってもそれが使われた地域と期間には相当な広がりがある中で、おおよそ紀元前5‐4世紀にギリシャのアッティカ地方(アテーナイを中心都市とする)で使用された言語(方言)は特別に「古典ギリシャ語」と呼ばれ、一般的な言語学習の対称として愛好者が多いそうである。政治家のペリクレス、有名な三大悲劇詩人、プラトンやアリストテレス等が使用した言葉であるらしい。表題書がそうであるように、書店で普通見かける学習書はこの方言を取り扱っている。(追記:アッティカ語はそれ以前の散文に使われたイオニア方言や、マケドニア帝国の標準語で現代ギリシャ語へとつながるコイネーへとスムーズに移行しやすい方言でもあるそうだ。)

本書は初学者向けの学習書である。アルファベットと発音から始まり、各品詞の格変化が各章4-5ページで小出しに紹介される。時間が有るときに一寸ずつ読み進められるのでこの構成は助かる。本書の最も良い点を挙げるとすれば、情報が最新であることだと思う。巻末に挙げられた、著者お薦めの参考書・語学書のリストは有難い。ギリシャ語のアクセントは日本語やラテン語と同様に高低アクセントである。り、比較的語尾の方に乗ることもある。この点が英語方面に馴染んでいる身には発音し辛く、覚えにくい。僕は耳で覚える方がやり易く、音声ファイルが付属しなのが惜しい。アルファベットは当然ギリシャ文字なのだが、多少は見慣れたものばかりなので、キリル文字の時のような頭の混乱は感じない。

文法要素に関しては他の現代語とそれほど変わらず、難しいものは今のところ無い。一番気になっていた中動態も一読してみれば、ドイツ語やスペイン語で頻出する動詞の再帰的用法と同じ(?)であった。ややこしい点があるとすれば、語尾変化を覚えるのが大変なだけである。本書のあとがきに有った、古典ギリシャ語は「難しい言語ではなく、力のいる言語」というコメントが頷ける。ここまで、偉そうに書いては来たが、僕は未だ本書の三分の一程度を一読したに過ぎない。少し前の章から語尾変化に付いて行けなくなっていて、また最初から読もうか悩んでいるところである。

脱線するが、僕はキングスネークが今のところ最も好きな爬虫類で、昨年秋頃にカリフォルニア・キングスネーク(カリキン)を一匹購入したことをこのサイトで書いた。今現在、カリキンは三匹に増えている。最後に迎えた一匹、これはいつもの店ではなく某大型有名店の年始セールで購入した個体なのだが、体表に白い部分の多い「ハイホワイト」と呼ばれる柄の、白面積が特に多く白色度合いも強い個体である。こいつには問題があり、ケージに手を入れるとスルスルと近寄ってきて、手に喰らい付いて来る。臆病からくる攻撃的な荒さではない。餌への貪欲さがキングスネーク属の特徴なのでキングスネークらしいとも言えるのだが、指先なら兎も角、どう考えても飲み込むことが不可能な掌も咥えるのはどうかしていると思う。もう一匹の白さ控えめなハイホワイトも指先なら、ハンドリング時にジッと見つめていたと思ったら咥えたことが二度ほど有り、白さの度合いが増せば増すほど頭の方はアホになる(あるいは食欲が勝る)のかもしれないと感じている。こいつの姿に僕は自分が語学書に飛びつく様を重ね見てしまい、どうにも憎めないのである。

ハリーポッター古典ギリシャ語版

轍に戻すと、古典ギリシャ語は読み物に困らない。数多くの古典的書物のほか、ラテン語と同様にコアな愛好者が付いていて現代でも新しい本の翻訳が出版されているようである。例えばハリーポッター第一巻 “Ἅρειος Ποτὴρ καὶ ἡ τοῦ φιλοσόφου λίθος”。先頭の2語はハレイオス・ポテールと読む。僕はこれらの本が読めるレベルまで習得する以前に飽きて別の言語に移りそうではあるが、先が豊富なのはモチベーションに繋がる。因みに、約一年に渡って細々と続けて来たフィンランド語の方は、昨年末あたりに飽きて一旦離れることにした。