黒牢城とテスカ

一位

Audible版 “Project Hail Mary” を聴き始めたのだが、内容をもう知っているのにワクワクが止まらない。ちっと聞き逃しても何が起こっているのか知ってる、という安心感があるせいかな。先を聴くために道草を喰ってしまう。

表題書は年末年始に読んだ内の一冊。「このミステリーがすごい2022」だったかな、のランキングで一位だったので読んでみたのだが、これが結構面白い。荒木村重が織田信長に反旗を翻して有岡城に籠城し、説得に来た黒田官兵衛を土牢に監禁したのは有名な出来事で、その籠城戦中に起こる事件を荒木が解決しようと、ああでもないこうでもないと思案し、いよいよ行き詰まったら土牢を訪問して黒田の(辛辣な)意見から解決に至るという、戦国ミステリーである。この著者のずっと前の本でファンタジーに基づいたミステリー小説が有ったけど、同類の異色さが有って好き。次に挙げる「このミス」第2位と『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、そして『メアリー』からのSF気分のままに読んだ小説(卑弥呼の時代へと時間を遡行して人類を滅亡から救うというSF)で中断しており、まだ半分程度、話数で言うと2話分しか読めていない。

二位

「このミス」第二位なのがコレ。一位とは確か僅差で、三位を大きく引き離していたと思う。ミステリー要素は殆ど無いので、「密室」や「トリック」を求めると肩透かしを喰らうが、読みやすさと残酷な犯罪描写でグイグイ読者を惹きつけるタイプの小説である。麻薬戦争に敗れた密売人がインドネシア、後に日本へと逃亡し、臓器売買で力を蓄えて復讐を目論む、というお話。主人公の一人、コシモ君は小学生時代に身長が180㎝台、14歳の時には父親を自己防衛で殺害するが、片手で首を掴んで100㎏ある体を持ち上げて絞め殺すことなど人間に可能なのだろうか。彼は最終的に2m10㎝近くまで伸び、体脂肪率は7%で、一般人では決して敵わない大型闘犬を素手で容易に殺害する。噂に聞くチンパンジーのブルーノ君以上かもしれない。僕のクラスメートにも小学高年生の時に身長が180㎝を超えていた子が一人いて、細身なのに力は馬鹿みたいに強かった。その彼は中学以降は身長が殆ど伸びなかったようである。どういう自然の悪戯であろうか。

この人の著作はもうずっと前に、高度な知能を得たチンパンジー(ゴリラだったかな?)が都会で大暴れする小説を読んだことがあったが、あの本も本書と同様に凄く面白いわけではないのだけれど、残酷な描写から目が離せなくて一気読みであった。読者を引き込む書き方やアイデアに秀でた人なのだろう。物語の中盤から後半辺り、犯罪グループメンバー各々の能力と経歴が数ページずつ紹介される箇所があったが、何となくヒーローものの漫画を想起させる描写でゾクゾクした。ここが僕には最も面白かったと思う。犯罪小説は特に読みたい類のジャンルではないので、これ一冊で当分の間は十分である。