ブック・ウォーズ デジタル革命と本の未来
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半分ほど読んだ時点で飽きてしまい、後半は「新たな声の文化」の章のみを読んで終了。テクノロジーによる出版業界の革変について、経済的・経営的側面からかなり詳細に説明される。そういう側面に興味が持てない僕にとっては過剰な情報であったが、これがドンピシャで響く人は居るに違いないと思われる。非常に読み易く、情報が良く纏められている。だた僕の興味とは向かう方向が違っただけ。
Amazonの台頭やAudibleの急伸は同時代的に眺めて来ただけに興味深く読んだ。特に朗読という文化。朗読の録音を聴く、という娯楽の開拓は蓄音機の発明と同じだけ遡り、この産業は録音媒体や再生デバイスの革新毎に飛躍した。例えばウォークマンの登場は、それまで主にドライブ中か室内で聴くものだった朗読を野外に開放する。またipod(iphone)の登場とデジタル媒体のサブスクリプション形式が主流になったことで出版量が劇的に増加した。CDからAudibleサブスクへの変遷は未だ記憶に新しく、個人的にはついこの前の出来事である。最近 ”abriged版” をめっきり見かけなくなり、冒頭で “This is an unabriged …. ” とアナウンスされることがなくなった(あまりに聞き慣れたので意識しないだけかも知れないけど)のも販売形態が変わったことが大きい(CDだと枚数が嵩み、それだけ高額になる)。朗読者として活躍する俳優「ステュアート」を例に挙げて録音現場の背景を知ることが出来た点も有益であった。