読み終わらない本など
かなり前から眺め続けている本3冊。最初の2冊はトイレに入る時などに手に取り、適当なページを開いて1,2ページだけ読むと言ったふうの読み方なので、まるで読み終わらない。『失われた古代文明: 歴史に消えた40の民族』はメソポタミアを統一したアッカド人から西ローマ没落までの、西アジア・地中海周辺・ヨーロッパ地域で歴史に現れては消えた40の民族について、各数ページずつで紹介した本である。これを書きつつインデックスを眺め返してみると、何処かで聞いたことがある名前が多く並んでいる。例えば本書最終項目のエフタル人(白フン)。後5世紀半ばごろにペルシャ帝国(ササン朝)の北東国境付近に現れ、帝国の頭痛の種となった遊牧民族であり、フン人の一派と言われている。インドに残った人たちは地元住民とたちまちの内に融合した。短いエフタル人統治時代に付けられた地名が今も残るそうな。
『あなたの知らない、世界の希少言語』はもぅ2年以上手元に有る本である。世界の孤立語と言語島を紹介したもの。孤立語とは「ほかの語派または語族全体との系統関係を認めることができない」言語で、有名なのはバスク語やブルシャスキー語。アイヌ語もこのカテゴリーで紹介されているが、本当かな? 一方の言語島は「ある言語が話されている地域であり、その言語よりもかなり話者数の多い一つ以上の言語に囲まれている」ところを指す。マルタ語(アラビア語のシチリア方言)やウェールズ語がこのカテゴリーで紹介される。全体的にヨーロッパの言語等は相当入り組んでいて興味深い。
『世界28言語図鑑』は購入してまだ2か月そこそこだが、上の2冊と同系統なのでここに纏めた。東京外大で教えられている28言語をそれぞれ数ページずつで紹介したもの。さて、本書はターゲット層がかなり狭い本であると言える。つまり、語学学習を始めたいけどどの言語にするかは決めておらず、比較的始めやすい各現代語の特徴をそれぞれ手短に知りたいという人向け。大学で第2外国語を選択する際の、各言語の紹介プレゼンテーションを思い起こさせる。実際その辺が動機だろう。既に特定の言語を心に抱いている人には、本書は無用である。僕自身は、ヒンディー語やカンボジア語などこれ迄縁が無かった言語はそれなりに楽しめたが、一方で興味のある言語は殆ど載っていない。なにより情報量が薄いので、早めに売り払うことになるだろう。
以下は途中で飽きてしまった本2冊。『死とは何か』は死後について各宗教がどの様に考えるかを紹介したもの。フィクションはフィクションであると明言する点が好印象である。起伏無く淡々と読み進められるが、終盤の浄土信仰のあたりで別の本を読み始めてしまい、以来中断中。
『優しい地獄』は大学院生として日本で学んだルーマニア人が日本語で書いた素朴な随筆集である。何となくではあるが、読み慣れた日本語とはどこか異なる文章の綴り方が興味深い。この違和感(本当に微妙な程度)も、文化による論理性の差異から来るのだろうか。文法的に少しおかしい(かもしれない)と思われる個所も、敢えてそのままにしているのだろう。子供時代の回想に心に来るものがあるが、3分の2ほど読んで中断中。