ガリア戦記
高校生の頃(大学だったかな?)に一度読んだことがある『ガリア戦記』だが、その時は淡々とした記述に興味を覚えず、読んだという記憶すら殆ど何も覚えていない。ところが最近、数ヶ月前からラテン語の練習の一環として下に表紙を載せた対訳版第1巻を読み始めてみると、これが妙に面白い。週末の運動前のみ、せいぜい30分程度開くだけなので中々進めることができず、先も気になるので日本語訳で読んだ次第であった。
ヘルウェーティイー族が周辺部族と結託し、自らの居住地を焼き払って不退転の決意を固め、新天地を西方(かな?)に求めて移動を開始する出来事から、カエサルのカリア平定の長い道のりが始まる。ガリアには既に多様な部族が所狭しと住んでおり、この移住は必ず部族間の混乱を招く。また属州の近隣に非友好的種族(ヘルウェーティイー族)が定住することの危険性を問題視したカエサルは、この移住を策略と戦闘で阻止し、各部族を元の居住地へと追い返す。ガリア人の指導者たちを呼んで話を聞いてみると、レーヌス川(ライン川かな?)の向こう側には恐ろしいゲルマン人が住み着いており、隙あらば渡河の機会を狙っているとのこと。近隣がリア人との紛争のために彼らを傭兵として招いたセークアニー族などは領地を奪われ、人質も取られて悲惨な状態であるとのことだが、当のセークアニー族は報復を恐れてこのことを口外することも出来ない程であった。(対訳で読んだのはここまで)
ガリア人も嘗ては蛮勇を誇り、ゲルマン人を追い返していたのだが、文明に触れる内に軟弱化したという。この後カエサルはライン川方面のゲルマン人、ガリアの中で最も屈強とされたベルガエ人、ブリタンニア人等を征服し、最後にウェルキンゲトリクスとの激戦を経てガリアの征服は概ね終わる。あっさりした記述の行間を頭の中で想像しつつ、巻頭に乗せられた地図と部族の分布図を照らし合わせて読むのは中々面白かった。
つい先日に『パーニニ文法学講義』という、妙に気になる本が出版されたそうだが、まだ近所の書店に並んでおらず、中身を見ずに購入するのも怖いので取り敢えずは見送り。今月末にはとうとう『スピノザ全集 IV (知性改善論 政治論 ヘブライ語文法綱要)』が出るそうなので、そちらが先になるだろうか。ヘブライ綱要は友人たちに頼まれて書いたものだそうな。