ヒョウモントカゲモドキの健康と病気

八月某日、僕は敗北した。何を言っているのか説明するには、ここひと月余りのこの件に関する出来事を順を追って話さなくてはならない。本稿は単なる日記、いや、数日に渡るのでタダの記である。

その前に本を紹介しておく。以前に『レオパードゲッコーモルフ大全』で少し触れたように、和名ヒョウモントカゲモドキ、英名レオパードゲッコー、通称「レオパ」はペット爬虫類で最も人気のある種の一つである。ナンバーワンと言ってもいい。理由は可愛い、動きが遅い、噛まない、小さい、清潔、寿命がそこそこ長い、手間要らず、大袈裟な設備が要らない、可愛いなどなど沢山あるが、これほど流通する最大の理由は繁殖が容易で、交配相手の選択によって多様な外見の品種 (モルフ) が生み出せる点にある。欠点は餌となる昆虫が苦手な人は飼えないのと、夜行性なので昼間はシェルターに籠っていることくらいだろうか。それでも薄暗くなるとシェルターから出てきて何やらゴソゴソやっているし、排泄もわざわざシェルターから這い出して決まった場所にしていくので、臆病な類似種にありがちな「生き物を飼っているかシェルターを飼っているか分からない」状況とはちょっと異なる。因みに肉食なのでこのフンは結構臭く、寝床から離れた場所にするのは納得である。

アマゾンの紹介より

そんなレオパの生態や飼育下での注意点が細かく解説された本が本書である。僕が本屋で漁った限りにおいて、現在日本語で読める中で最も内容が充実している。全ての飼育者が通読する必要があるとは思わないが、且つての『家庭の医学』のように、もしもの際に手元に置いておきたい本である。これだけの情報はネット上では見つからない。レオパの飼育書に有りがちな、本の大部分がモルフ紹介とはなっていない点も評価が高い。さて、僕はどうしてこのような読者の限定される本を手にしているのだろうか。

アマゾンの紹介より

話は2か月以上前まで遡る。僕はサイズを問わずインコが大好きで、5月の連休明け辺りから (ずっと連休?のようなものだったが) 動画を検索したりアマゾンで関連書を調べたりしていた。外出自粛で人と会わない所為か。独り暮らしで稀に出張もある生活スタイルでは世話できないことが分かっているので彼らの飼育は頭に無かったのだが、「そういえばカメも好きで、あまり大きくならない種なら今の生活でも飼えるよな」などと考えだしていた。Kindle Unlimitedのお薦めに爬虫類雑誌が上がってきたのはそういう理由による。以前Unlimitedを見て買いたくなった、等と書いたが、アレは嘘である。ヒトは容易にウソを吐くことを忘れてはならない。

以下、長々と叙述してもしょうがないので箇条書きで書く。
(1). カメについて調べる (今どんな種が幾らくらいで手に入るのか、どういう飼育方で飼うのか)。
(2). YouTubeチャンネル “Clint’s Reptiles” にて、カメのついでに観たトカゲの紹介でトカゲを初めて意識する。
(3). YouTubeでトカゲの飼育風景を見て廻る。
この際、レオパ飼育動画や紹介動画が多数挙がっており、レオパに関心を持った。

(4). レオパの飼育書や『レオパードゲッコーモルフ大全』を読む。
(5). ネットで流木を買う。お盆休み前のことである。
(6). ネットでレオパ用のお洒落なシェルターを買う。
5と6に関しては説明しなければなるまい。動画でレオパの立体活動用かつ簡易シェルター用に流木を配置している風景を何件か見て、ネットで検索してかっこいいのを購入した。僕は流木が好きなのだ。お洒落なシェルターとは、美濃焼の (ペット用としては無駄に) 高級な逸品である。僕はいい感じの焼き物が大好物なので、色違いで二つ購入した。この時点で、僕は何かしらの生体を飼おうとは思っていない。

美濃焼シェルター この「アンティークグリーン色」は特に美しく、コレのみを飼育しても良いくらいだ

(7). 部屋を片付け、無駄に場所を塞いでいた不用品を粗大ごみに出す。
(8). 大量の蔵書をブックオフに寄付する。素早い対応であった。
(9). 収納棚や収納箱を購入する。
8は「アジアの恵まれない子供たちに本を送る」云々の支援プログラムを申し込み、配達業者に取りに来てもらった。もう読まない本を処分したかっただけである。定期的に蔵書を一斉処分してはいるが、今回は約3年以上分だったので量が多い。段ボール箱12箱分、査定額は4万5千円くらいになったと連絡が来る。金額を聞いて惜しくなったが、まあ良い。蔵書の1/3が無くなったのに、あまり減ったように感じない。だがスペースはできた。

(10). 爬虫類専門ショップの通販サイトでケージと保温具 (そのうち必要)などを2セット購入する。
(11). 東京近辺の爬虫類専門店をを調べ、ホームページを見て廻る。
10は勿論、流木とシェルターを入れる為である。生体のことはまだ考えていない。因みに、ネットで爬虫類の購入はできない。対面販売が義務付けられている。
爬虫類専門店は思ったより少なく、アクセスしにくい場所にある。何処も最寄り駅から10分から20分くらい歩く。その中で僕が行きやすい場所を2,3店ピックアップする。ただ見学のみが目的であることは言うまでもない。

(12). お盆開け早々、ピックアップした店の中では一番小さいが、僕にとって最もアクセスがし易く評判も良い店に出かける。開店時間 (15時、爬虫類店の朝は総じて遅い) の一時間ほど前に最寄り駅に到着した。けっして待ちきれなかったわけではない。外を散歩するには余りに暑いので薄汚いサイゼリアで時間を潰す。
(13). 若い店主に爬虫類を色々と見せて貰い、話を聞く。爬虫類が好きで堪らない、といった感じの店主であった。店は明るくて雰囲気が良く、見て廻るだけで楽しい。
(14). 特に気に入った若いレオパ一匹と、上に少し述べた臆病な類似種 (ニシアフリカトカゲモドキ、通称「ニシアフ」) のベビーサイズ一匹を連れて帰る。僕の用意したケージはニシアフには大き過ぎると感じたので、小さめのケージも同時に購入する。

(15). 翌日再び店に行き、前日見たレオパの中で特に気に入ったもう一匹の、推定一歳半、ほぼ大人の個体を購入する。ケージが一つ空いていたのだ。
以前、このサイトの何処かで、「一年ほど先にカメの飼育を考えるかもしれない」等と書いた。カメではなくヤモリを、それもひと月も経たないうちに3匹も、加えて (餌の) コオロギ約60匹と共に飼育することになった。僕はどの辺りで敗北したのだろう。

僕が購入した個体のモルフは、若い方は「トレンパーアルビノ」、『レオパードゲッコーモルフ大全』の著者トレンパー氏が最初に世に出したアルビノのモルフである。こいつは呑気で物に余り動じず、顔を外に出して寝ていたりする。ゴソゴソやっているとわざわざ確認しに寄ってくる。餌への期待であろう。もう一方のほぼ大人の個体は全身橙色で黒い点々が付かないモルフである。元気が良いがやや警戒心が強く、そこに惚れた。店主曰く、気に入った個体が店に居る内が買い時なのだ。性格も顔つきもそれぞれ異なるのが面白い。以前、「原種のモルフが好き」等と書いたが、コレもウソであった。と書きたいところだが、全くのウソとも言えない。市場で原種モルフはレア度が高いようで、お店でも見なかった。現在ベースとなるモルフは野生に黄色が強く乗った「ハイイエロー」というモルフだそうで、値段もこれが最も安い (数千円?よく見ておらず) 。

お店のHPから拝借。僕が購入した大人の方の個体 顔つきは個体ごとに少し異なる

店には通常個体の倍くらい大きくなるモルフ、「スーパーゴジラジャイアント トレンパーアルビノ」、の2歳になる大人個体も居て、通常個体とは猫と柴犬くらいの体格差があり、レオパの中では圧倒的な存在感であった。因みにこのモルフもトレンパー氏が見つけた「ジャイアント」の、その中でも特に大きく成長する形質らしい。値段もスーパーな税込み7万円超。店主によれば今現在最も高価なのは黒が強調される「ブラックナイト」というモルフで、全身が黒に染まる個体は50万円で取引されるらしい。その真逆、「ホワイトナイト」というモルフも有り、この遺伝子をヘテロで保有する個体はお店で約6万円であった。「ホワイトナイト」はどうやら劣性遺伝らしく、それをヘテロで保有するということは、その個体では発現しない形質であることを意味する。同じくホワイトナイトのヘテロかホワイトナイトを発現する個体と掛け合わせてそのモルフの子が得られる可能性がある、その「血統」の値段が上に乗っている。因みにこの「ホワイト」は他に似たような外見のモルフが幾つかあり、「ブラック」と違って存在感は薄い。色々とあるものである。前二回はレオパにばかり気を取られて他生体を殆ど見れなかった。お店には大きく育ったグリーンイグアナやトゲオアガマ属の最大種エジプトトゲオアガマも居て、次回行った際によく見ておきたい。これを恐らく爬虫類沼という。

さて3匹目を購入して翌日、ケージの掃除 (と言っても水替えとフンの除去だけ) の際にほぼ大人の方の個体がシェルターの外に出てきており、僕の不用意に急な動きに少し後退って、興奮状態で行う尻尾振り動作を僕に対してして見せた。その滑らかでやや異様な動きに感動したが、明らかに「近づくな」と言っているので手を引っ込めるしかなかった。勝てるはずがない。良い絵が見つからず、お見せできないのが残念である。なお、うちで今最も存在感を出しているのはコオロギである。

本の感想・紹介と関係のないペットの話はこれ以上は控えるつもりであるが、何かの折に差し込むことはあるかもしれない。ペットの話を過度に繰り返すようなら、僕の気が触れたと考えて頂きたい。

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